合金の異相界面構造の安定性解明の為の理論計算手法の開発

弓削 是貴
(京都大学大学院 工学研究科 材料工学専攻 助教)

2013年11月20日水曜日

論文を投稿しました

10月の記事に書いた,不規則相を格子で決定されるごく限られた構造の情報から記述することのできる理論の論文を欧文誌に投稿致しました.現段階では理論の適用はバルクに限られていますが,これを界面に応用できるように展開したいと思います.

2013年10月1日火曜日

界面近傍での不規則構造

一般に有限温度での不規則構造は一つの原子配置として表すことは出来ず,ensembleとして考えます.界面近傍でも高温では不規則構造が実現しうるのですが,バルクと比較して界面の計算には一般に膨大な原子数が必要であり,さらにそのensmeble(通常100万〜1000万個,あるいはそれ以上)を考慮するため第一原理からの定量的な評価は困難です.

最近,不規則構造を上記のようなensmebleではなく,ごく少数の構造の情報から表すことのできる理論を開発しました.現在,バルクでこの理論を検証中ですが,これがうまくいけば界面近傍での不規則構造についてもかなり少数の構造から定量的に予測できるのではないかと考えています.

2013年8月23日金曜日

論文:歪の記述

5月の記事に書いていた,合金の内部エネルギーに対する異相界面近傍の整合・非整合歪の効果を記述できる新しい計算手法に関する論文が,Intermetallics誌にAcceptされました.この手法を用いて,界面近傍の3次元の歪に応用したいと思います.

2013年7月25日木曜日

計算手法(歪の効果)の応用

5月のBlogにも記載されている界面近傍の歪の効果を取り入れる手法の,内部エネルギー以外のスカラー量(組成・構造で決まるもの)への適用可能性を検証するために,高温で合金の相安定性に対する効果が大きくなりうる電子系のエントロピーをモデル系で評価してみました.

その結果,歪と原子配置のcouplingの寄与を考慮することで実空間上でかなり短距離(数オングストローム)の相互作用までで電子系のエントロピーを高精度に予測可能なことが分かりました.これは,Ising Hamiltonianでは通常pair相互作用のFourier変換が歪の効果によって逆格子空間のガンマ点で真性特異点を持つ問題が,本手法でcouplingの寄与を完全直交基底で記述できたことで解消されたためと考えられます.

界面近傍の内部エネルギー・電子系のエントロピーを精確に予測できたということは,残る重要な寄与としての格子系の自由エネルギーも同様に高精度に予測できるのではと考えています.

2013年6月17日月曜日

日々考(1)

材料の物性は,原子配置・組成・結晶構造などと密接に関連しています.

配置・組成・構造を完全に記述できる基底関数の構築は変位を記述する仮想格子を用いればできるのですが,基準となる格子とcouplingさせた場合に相互作用のlinear dependenceを見つけるのが結構大変です(対称操作で移される構造全ての相関関数の逆行列が原理的には必要なので).

そこで,最近考えているのはquaternion(四元数)という一つの実部と三つの虚部を持つ数でサイトの占有と3次元の変位情報をまとめて一つのスピン変数に入れてしまい,テンソル積をとってベクトル空間をつくれれば,linear dependenceを見つけなくてもいいんじゃないかなと考えたりしています.ただ,quaternionは内積は可換だけれども積は非可換なので自分の思っているような空間を張ることができるかはまだ分からないです.これから少し考えてみようと思います.ただし欠点として,元素占有を記述する基底の次元と変位を記述する基底の次元が常に同じになってしまうので,一般的には原子配置を表すベクトル空間が不必要に大きくなってしまうことが予想されます.これはまあ,最終的な空間の部分空間で系の状態を完全に記述はできるので致命的な欠点ではないんですが.

これができれば,複雑な界面構造を持つ系のエネルギーをわりとスッキリ書くことも出来るのではないかと思っています.(ただし,相互作用エネルギーに複数の虚数部が必ずでてくるので注意が必要そうです)

2013年5月22日水曜日

論文を投稿しました

合金の内部エネルギーに対する異相界面近傍の整合・非整合歪の効果を完全に記述し,高精度(1meV/atom以下)に予測可能な計算手法開発に関する理論と応用の論文を執筆し,欧文誌に投稿致しました.

2013年4月25日木曜日

ブログを始めました

ブログを始めましたのでよろしくお願い致します.

2013/4/23に研究助成金贈呈式・日本国際賞学術懇談会に出席させて頂きました.

今後は研究の途中経過等を書き込んでいきたいと思います.