合金の異相界面構造の安定性解明の為の理論計算手法の開発

弓削 是貴
(京都大学大学院 工学研究科 材料工学専攻 助教)

2013年6月17日月曜日

日々考(1)

材料の物性は,原子配置・組成・結晶構造などと密接に関連しています.

配置・組成・構造を完全に記述できる基底関数の構築は変位を記述する仮想格子を用いればできるのですが,基準となる格子とcouplingさせた場合に相互作用のlinear dependenceを見つけるのが結構大変です(対称操作で移される構造全ての相関関数の逆行列が原理的には必要なので).

そこで,最近考えているのはquaternion(四元数)という一つの実部と三つの虚部を持つ数でサイトの占有と3次元の変位情報をまとめて一つのスピン変数に入れてしまい,テンソル積をとってベクトル空間をつくれれば,linear dependenceを見つけなくてもいいんじゃないかなと考えたりしています.ただ,quaternionは内積は可換だけれども積は非可換なので自分の思っているような空間を張ることができるかはまだ分からないです.これから少し考えてみようと思います.ただし欠点として,元素占有を記述する基底の次元と変位を記述する基底の次元が常に同じになってしまうので,一般的には原子配置を表すベクトル空間が不必要に大きくなってしまうことが予想されます.これはまあ,最終的な空間の部分空間で系の状態を完全に記述はできるので致命的な欠点ではないんですが.

これができれば,複雑な界面構造を持つ系のエネルギーをわりとスッキリ書くことも出来るのではないかと思っています.(ただし,相互作用エネルギーに複数の虚数部が必ずでてくるので注意が必要そうです)