合金の異相界面構造の安定性解明の為の理論計算手法の開発

弓削 是貴
(京都大学大学院 工学研究科 材料工学専攻 助教)

2013年7月25日木曜日

計算手法(歪の効果)の応用

5月のBlogにも記載されている界面近傍の歪の効果を取り入れる手法の,内部エネルギー以外のスカラー量(組成・構造で決まるもの)への適用可能性を検証するために,高温で合金の相安定性に対する効果が大きくなりうる電子系のエントロピーをモデル系で評価してみました.

その結果,歪と原子配置のcouplingの寄与を考慮することで実空間上でかなり短距離(数オングストローム)の相互作用までで電子系のエントロピーを高精度に予測可能なことが分かりました.これは,Ising Hamiltonianでは通常pair相互作用のFourier変換が歪の効果によって逆格子空間のガンマ点で真性特異点を持つ問題が,本手法でcouplingの寄与を完全直交基底で記述できたことで解消されたためと考えられます.

界面近傍の内部エネルギー・電子系のエントロピーを精確に予測できたということは,残る重要な寄与としての格子系の自由エネルギーも同様に高精度に予測できるのではと考えています.